前回の続き。。

酒も進み、口数が増え、上機嫌の社長。

社長本人に悪気などは無いと思うのだが
俺にとっては「この会社大丈夫なのか?」と
思うような発言が多々飛び出してきた。

’’冗談だよ’’ と言えば何でも許されると思ってる人間。

たまに居るのだ、こう言うタイプの方が。。

でも「Sさん」はどういう風に思ってるんだろう?

。。。


S 「全部、社長の言う通りですわ(笑)」
  「まぁタイ支社と新工場は任せといて下さい!」
  「決して社長の悪いようにはしまへんから
   ドーンと構えといて下さいな。ヒヒヒッ」


こう言うタイプか。。

仕事では知識や技術でなく人柄を押して潜り込み
本心ではない ’’太鼓持ち’’ で切り抜けるタイプ。

Sさんにも何らかの野望があるとしか思えない。

でもこの社長とSさんは馬が合うかもな。。


S 「社長っ!!そろそろ行きますか!」

社長「いいねぇ。行きますかぁ~」

S 「俺さんもまだ時間大丈夫なんやろ?」

俺 「良いですよ。お共させて下さい」


訳の分からない夜ミーティングも終わり
俺達3人はトンロー通りを歩いて移動。

社長が先陣を切って歩き、その少し後ろを
俺とSさんが並んで歩く。

Sさんは社長に気を使ってなのか?
無言になってはいけないと思ってるのか?
後方からとにかく喋り続けて歩いている。


S 「社長!しっかり下見て歩かないと
   タイの歩道はガタガタで危ないでっせ」

社長「綺麗なところを選んで歩いてるよ(笑)」

S 「見た目が綺麗なだけではあきまへん!」
  「接着が悪くて踏むと水が飛び出しまっせ!」

社長「おおぉ、そうか(笑)」

S 「で、下ばっかり見ててもあきまへん」
  「垂れ下がった電線にも注意して下さい(笑)」

社長「ホントだ。危ないなぁ~(笑)」

S 「ヨロけると敷かれてしまいまっせ~(笑)」

社長「前後左右どころか上下までも。。」
  「恐るべしタイランド(笑)」


これが狙っての発言ならアリかもしれない。。

場を盛り下げないためとするならむしろ凄い。

ここでSさんが耳打ちするよう俺に話しかけて来た。


S 「あのね俺さん?この社長はチョイチョイっと
   持ち上げておけば万事OKなんや」

俺 「そんな感じは見受けられましたね(苦笑)」

S 「2ヶ月に1回くらいのペースでタイに来るから
   その時だけ上手に対応しておけば
   後は何ーーーーんの心配も要らへん」

俺 「そんなもんですかね?」

S 「どや?この会社入ったら楽チンやでぇ?」

俺 「でも新工場のプロジェクトが。。」

S 「そこや!そこなんや!」

俺 「?」

S 「俺さんもタイが長いからわかると思うけど
   タイが好きな人間はこんなヤツばっかりや」

俺 (そこまで言う。。)

S 「実際は新工場なんかどうでもええ」
  「出来るだけ長い期間、タイに遊びに来る
   名目・口実が欲しいだけなんや!」


この社長とユエン・シャ。。いや、Sさん。。大丈夫なのか?


でも就職しないと金が。。(涙)
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【第1話】 俺