前回の続き。。

ついに俺も年貢の納め時が来たようだ。。

この「Kさん」に勝てる人物は存在するのだろうか?


以下、本社から俺に通達があった時の内容。

シ刑執行は理由付けのオンパレードだった。

もちろんKさんが本社に吹き込んでいるので
Kさんの報告目線で紹介させていただく。


「俺君は駐在期間が相当長くなっている(8年)」

「リサーチしたところ他社では考えられない期間で
 会社の管理・対応としても疑われます」

「本社も8年前に比べると技術開発がされている」
「俺君はこの辺で本帰国し、その新技術を取り入れ
 いつかタイ工場を仕切る存在になって欲しい」
「彼のタイでの経験やタイ語は物凄い戦力だ」

「抜けた穴はこちらで現地採用を数名雇い入れ
 現状よりも必要経費を安く抑えます」

「ベースはMさんや俺君がしっかり作ってくれていて
 今後の駐在員は私ひとりで何の問題もありません」
「独身なので休日も出勤し工場を管理できます」

「また、俺君のお子さんの教育も心配です」
「タイではなく日本の学校できちんとした教育を
 受けられないのは会社の責任にもなりかねます」

「俺君は次回の駐在更新をしないのが賢明です」


あっという間に俺の本帰国が決定する。


ちなみに子供はきちんと日本人学校に通っており
日本人や日・タイハーフなどの子供が小1〜中3まで
約2,500人通学する超マンモス校で先生の数も多く
心配なんか微塵も無い ※むしろ日本より数倍凄い

そりゃ親には多少問題があるかもしれない(苦笑)が
夫婦仲は日本で生活していた時よりもかなり良い。


俺の公私共に外堀から埋めて来たKさん。

必死さ具合が手に取るようわかる。


唯一の救いは先に葬られた「U太」や「Mさん」と違い
本帰国(シ刑執行日)を2~3ヶ月前に知らされたこと。

「K美(嫁)」も「ついに。。」と言っていたが
割と直ぐに納得し、本帰国準備を始めてくれた。
※子供関係と国際引っ越しがメイン


俺もタイ駐在員のはしくれ。。

いつかは来るとわかっていた任期満了。


3年、5年、7年と区切りの良い節目節目で
そろそろ本帰国か?と心の隅で思うこともあった。

が、策略で本帰国になるとは思いもしなかった。

できれば今のままそっとしておいて欲しかった。

しかし俺も雇われの身。

会社の決定には従うしかない。


そして俺が処刑される、もうひとつの原因は
以下の様な理由も含まれている可能性がある。


皆さんは覚えているだろうか。。

「M先輩」と結婚した「ネーン」の実姉「ヌイ」
※参照ポチ↓ 社内イチのベッピンさんより更に美人


実はそのヌイが俺の居る会社に転職してきたのだ。

俺の働く会社は学歴よりもヤル気重視で採用する。

コレは最後まで変わらなかった「Nさん」の方針。

そういうスタイルの企業は従業員の兄弟や
自分に近い親戚が集まる傾向が強い。

ヌイもそのひとりだ。

しかしタイの超大手企業『SCG』を捨てての転職。

俺たちのような零細中小企業への移籍は
通常では考えられないだろう。

Kさんは俺の帰国を決めたころ(もしくはその前)
どこから情報を得たのか定かではないが
べっぴんネーンの姉 ’’べっぴんヌイ’’ の存在を知る。

Kさんは何度も何度も何度も俺に言っていた。。
「会社決定とはいえ、俺ちゃんが居なくなると
 忙しいから、せめて ’’秘書’’ が必要やのぉ」と。

なんとKさんはウチではありえない破格の条件で
SCGからヌイを引き抜いたのだ。

この辺はKさんの範ちゅうでは決定できない?
金の掛かることだが、本社に上手に説明を行い
役付きを言いくるめて実現させている ※Kさん本人談

昼は会社でべっぴん秘書ヌイと2人の楽しい時間、
そして夜は独身貴族のカラオケ遊びを満喫するために
俺と言う邪魔者(本社への情報流出防止要素)は
「タイから消えろ」と。

Kさんの表向きは「日系企業に転職したがってる
ヌイを雇った。ただそれだ~け~よ」と言うところ。

そして肝心のタイ語、ビザや経理の難しい部分は
総務の「Yさん」に任せて乗り切る魂胆だろう。

これは俺の予測も含むが、ほぼほぼ間違いない。

裏で自分の都合の良い様コントロールすることに
ココまで長けた人間は他に居ない。

希代の策士なのだ。


そして3ヶ月後の2008年12月末日。。


俺の9年目の駐在生活は始まることなく本帰国となった

「第10章 -完-」

次回、俺の想いとなります m(_ _)m


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